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タンパク質品質管理に関わるジスルフィド結合形成・開裂因子の構造的基盤

日 時 2011年07月04日(月) 17:00 より 18:00 まで
講演者 稲葉 謙次 博士(九州大学生体防御医学研究所)
場 所

山手3号館9階セミナー室B

概 要

細胞内にはタンパク質の品質を厳正にコントロールするためのシステムが存在する。近年の研究により、このシステムにおいてシステインのチオール基を介したレドックス反応が深く関与することが明らかとなりつつある。特にタンパク質ジスルフィド結合の形成・異性化・開裂は、タンパク質の高次構造形成およびミスフォールドタンパク質の修復・分解除去において重要な反応である。我々はこの数年来、大腸菌のペリプラズムおよび哺乳類細胞の小胞体においてジスルフィド結合の形成を担うシステム(大腸菌の場合DsbB-DsbAシステム; 小胞体の場合Ero1-PDIシステム)について詳細な構造生化学的研究を進め、これらシステムの普遍的な作用機序ならびに相異なる活性制御機構を解明するに至った。さらに、小胞体内で生じたミスフォールド蛋白質のジスルフィド結合を還元し小胞体関連分解を促進するシステム(ERdj5-EDEM1-BiP)についても、ERdj5の結晶構造解析を中心に系統的な解析を進めた。その結果、ERdj5を介した小胞体関連分解経路の一連の作用機序モデルを提唱するに至った。本講演では、これら最新の研究成果を報告する。

参考原著論文:
1) Inaba et al., Cell 127, 789-801 (2006)
2) Inaba et al., EMBO J. 28, 779-791 (2009)
3) Inaba et al., EMBO J. 29, 3330-3343 (2010)
4) Hagiwara et al. Mol. Cell 41, 432-444 (2011)
5) Masui et al. J. Biol. Chem. 286, 16261-16271 (2011)

お問合せ先

加藤晃一(岡崎統合バイオサイエンスセンター)