分子科学研究所

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統計力学と熱力学の関係性 〜情報科学の視点を入れて〜

日 時 2012年07月20日(金) 16:00
講演者 鹿野 豊(分子科学研究所 若手独立フェロー(特任准教授))
場 所

分子科学研究所 研究棟 201セミナー

概 要

気体の分子運動論に依拠し、その後、マクロなパラメータのみで定義される熱力学とミクロとマクロを結びつける統計力学との関係はよく考えると自明でない。 この一見自明な関係性を情報科学の視点を用いて解決しようとしたのはレオン・ブリルアンである。そのアイディアは、操作主義的に理解されている情報科学のコンテクストに、あらゆる物理系を翻訳するという壮大なものであった。彼の壮大な夢は失敗とされている[1]が、そのうちの一部を正当化することが出来たので紹介する。まず、操作論的にマクロパラメータを定義する平衡熱力学と情報科学の関係性をマクスウェルの悪魔の文脈において正当化することに成功した[2]。また、平衡統計力学の導出を操作論的に行うということにも成功した。いずれのアイディアも様々な文脈で出てくるエントロピーを操作主義的な観点から最適なデータ圧縮の際に定義される情報科学的なエントロピー(シャノン・エントロピーと呼ばれる)に帰着させることが主要な論点になる。
この観点から、熱力学および統計力学の再構築の可能性を議論したい。

[1] L. Brillouin, Science and Information Theory (Dover, Mineola, N.Y., [1956, 1962] 2004).
[2] A. Hosoya, K. Maruyama, and Y. Shikano, Phys. Rev. E 84, 061117 (2011).

お問合せ先

2012年度コロキウム委員
古谷 祐詞(生命・錯体分子科学研究領域)
櫻井英博(分子スケールナノサイエンスセンター)