研究・研究者
研究会・セミナー
演 題 | 「どうしてそんなに遅いのか」 |
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日 時 | 2014年07月25日(金) 16:00 |
講演者 | 秋山 修志(分子科学研究所 協奏分子システム研究センター) |
場 所 | 山手3号館2階西 大会議室 |
概 要 | シアノバクテリアの概日時計が3種の時計タンパク質を混合することで2005年に再構成され,そして2011年,ヒト赤血球内に転写翻訳を介さないタンパク質の振動現象が発見されました.これまでは,「時計遺伝子の転写・翻訳を介した負帰還制御がリズム発生に必須」という考えが主流でしたが,「タンパク質時計だけでもリズムを奏でる」という事実に,多くの研究者が衝撃を受けました.現在は,「タンパク質時計システム」と「転写翻訳を介した振動機構」が相補的に共存していると解されつつありますが,今後,他の生物種でもタンパク質時計が発見され,その重要性や注目度が高まることが予期されます. シアノバクテリアの生物時計が試験管内で再構成されると,研究の焦点は3種のタンパク質間相互作用へと徐々にシフトしていきました.これらの研究は,3種のKaiタンパク質をシステムとして捉え,分子間相互作用を精査し,もしくはモデリングにより発振機構に迫ろうという試みでした.これらの研究を通して多くの知見が得られましたが,そもそも何故,高い柔軟性・速い運動能を備えたタンパク質分子で遅く・秩序ある概日リズムが実現可能なのか,本質の部分ではわからないことが山積しています。今回のセミナーではこの点を踏まえつつ,現在の私どもの取り組みについて紹介させて頂きます. |
お問合せ先 | 加藤晃一 |