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演 題 | 「2端子および多端子系のジョセフソン接合におけるスピン軌道相互作用によって誘起された超伝導電流」 |
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日 時 | 2015年10月01日(木) 15:00 |
講演者 | 横山知大 (日本学術振興会 海外特別研究員 デルフト工科大学 Kavli Institute of Nanoscience 博士研究員) |
場 所 | 分子科学研究所 研究棟2階 201号室 |
概 要 | 近年、マヨラナ粒子など、スピン軌道(SO)相互作用に起因した物理に関する研究が精力的に進められている。InSbやInAsなどの狭ギャップ半導体では、強いSO相互作用が報告されている。本研究では、そのような半導体のナノ構造を用いたジョセフソン接合におけるSO相互作用の効果を明らかにした。最初に、InSbの半導体ナノワイヤにおけるDCジョセフソン効果を調べた。短い接合を想定する。ジョセフソン電流は常伝導領域に形成されるアンドレーエフ束縛状態のエネルギー準位から求めることができる。SO相互作用がある場合、ゼーマン効果との協奏によって系の対称性が破れる。これが超伝導体間に位相差がないにもかかわらず超伝導電流を誘起する。数値計算と解析的な表式を用いてこの異常ジョセフソン効果を明らかにした。また、SO相互作用は物理量の磁場に対する異方性を誘起する。SO相互作用による有効磁場を導入することで、ジョセフソン効果についてもその異方性を明らかにした。次に、多端子系のジョセフソン接合に着目した。N個の超伝導体に対して、N-1個の独立な位相差が定義される。全ての位相差は2πの周期性を持つため、アンドレーエフ準位はN-1次元空間の「エネルギーバンド」とみなすことができる。この「バンド構造」におけるトポロジカルな性質を議論し、数値計算においてWeylフェルミオンの物理が誘起されることを示した。
[1] Yokoyama, Eto, and Nazarov, JPSJ 82, 054703 (2013) |
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