分子科学研究所

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第897回分子研コロキウム

演 題 「特殊ペプチド創薬:基礎研究からイノベーションへ、その一例としてのペプチドリーム社」
"From basic science to innovation in pseudo-natural peptide drug discovery, an example of PeptiDream Inc."
日 時 2017年01月20日(金) 16:00
講演者 菅 裕明 教授 (東京大学大学院理学研究科)
場 所

分子科学研究所 研究棟2階 201号室

概 要

医薬品開発の主流は長い間有機小分子薬剤であったが、標的タンパク質へ高い特異性をもつ抗体が近年盛んに開発され、上市されている。副作用が少なく薬理効果の高い抗体は、有機小分子薬剤に代わる薬剤として非常に期待が高い反面、標的タンパク質が細胞表面分子や分泌分子に限られるため、応用範囲が限定される。さらに、免疫毒性や生産コストが高いことも、患者への負担を高めている。

そういった中、タンパク製剤に代わる次世代薬剤として、有機小分子薬剤なみの低い分子量をもつ第3の医薬品開発の期待が高まっている。菅らは、特異性が高く、生理活性の高い特殊ペプチドを迅速且つ確実に発見できるRaPID(Random peptide integrated discovery)システムを開発した。RaPIDシステムは、菅らが独自に開発した人工RNA酵素「フレキシザイム」と大腸菌再構築無細胞リボソーム翻訳系を組み合わせたFITシステムに、mRNAディスプレイを組み合わせて構築された。本システムは、mRNAを鋳型として、特殊ペプチドを自在かつ簡便に翻訳合成し、活性種を迅速にスクリーニングする技術である。この技術を駆使することで、特殊ペプチドのライブラリー化も極めて容易に達成でき、様々な疾患原因タンパク質に対する特殊ペプチドの薬剤探索が可能となった。本講演では、この技術開発に至った経緯を講演した後、ペプチドリーム株式会社を通した創薬イノベーションを例として、日本の大学・研究所でイノベーションを起こすためには何が必要か、将来ビジョンを含め講演する。

詳しい内容はこちらをご覧下さい。 The 897th IMS colloquium

その他

対応者:飯野亮太、柳井毅(2016年度コロキウム委員)