分子科学研究所

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第902回分子研コロキウム

演 題 「結晶スポンジ法の開発とカルボニルひもの化学への展開」
"Development of the crystalline sponge method and chemistry of polycarbonyl strings"
日 時 2017年03月15日(水) 16:00
講演者 猪熊 泰英 (北海道大学大学院 工学研究院 准教授)
場 所

分子科学研究所 研究棟2階 201号室

概 要

分子を扱う研究において、分子構造の解析は必要不可欠なものである。汎用化されている分子構造解析手法の中でも単結晶X線構造解析は、高精度の3次元構造情報を与えることから有機化学など多くの分野で用いられているが、「対象化合物の結晶がなければ測定できない」という大きな課題が、この手法の適用範囲を限定してしまっていた。「結晶スポンジ法」は、化合物を分子サイズの孔が無数に並んだ細孔性結晶(結晶スポンジ)に浸み込ませて並べることでX線構造解析を行うための単結晶を作製する手法であり、単独での結晶化が困難な油状、あるいは微量化合物の単結晶X線構造解析を可能にしてきた。近年では、技術面、解析面における改良も手伝って、天然物や代謝物など様々な化合物の結晶構造解析に応用できるようになっている。今回の講演では、結晶スポンジ法の最近の動向について述べる。

また、結晶スポンジ法の研究を深めてゆくなかで、ポリケチドのように柔軟な脂肪鎖に多数のケトンを有する1次元的な化合物が、非常に多彩な3次元構造と特異な反応性を示すことに興味を持ち、”カルボニルひも”と銘打ったひも状分子を合成し構造解析する中で、いくつかの興味深い性質が見え始めている。現在はまだ過渡期ではあるが、”構造を解く化学”から”構造が開く化学”への変遷と最新の成果についても紹介したい。

詳しい内容はこちらをご覧下さい。

その他

対応者:飯野亮太、柳井毅(2016年度コロキウム委員)