分子科学研究所

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演 題 「光合成光化学反応のフィードバック制御を可能にするタンパク質構造ダイナミクスの単一分子解析」
日 時 2017年09月26日(火) 13:30 より 14:30 まで
講演者 近藤 徹 博士
(Schlau-Cohen Group, Department of Chemistry, MIT)
場 所

分子科学研究所 南実験棟4階408セミナールーム

概 要

光合成生物は無尽蔵に降り注ぐ太陽光を吸収し地球上の生命活動を支えるだけの化学エネルギーを生み出している。光合成反応は光の吸収によりトリガーされ、吸収された光エネルギーは電荷分離に使われる。この光電変換は反応中心(RC)と呼ばれるnmスケールの色素タンパク質複合体内で行われるが、RCだけでは十分な光が得られないため、光捕集に特化したアンテナタンパク質を周りに充填させて光吸収能力を強化している。一方で、過度の光エネルギーは活性酸素などを生み出し光損傷を引き起こす。そのため光合成系では過剰光エネルギーを速やかに熱として散逸する非光化学的消光(NPQ)機構が発達している。アンテナタンパク質にはクロロフィル(Chl)分子とカロテノイド(Car)分子が結合し、CarがChlから励起エネルギーを奪って熱散逸することが分かっている。しかし、実際の自然環境では太陽光強度は刻一刻と変化しており(日の出・日の入、晴れ→曇りなどの天候変化など)、このような光環境の時間変化に対応する光保護機構は不明であった。そこで我々はNPQ因子として近年注目されている光合成アンテナタンパク質LHCSRの1分子分光解析を行い、タンパク質ダイナミクスという視点から光保護機能の動作機構を解析した。タンパク質の柔軟性を上手く利用した光合成系の光反応フィードバック制御機構を明らかにしたので紹介する [1]

[1] Kondo et al. Nature Chemistry 9, 772 - 778 (2017).

その他

対応者:石崎 章仁