分子科学研究所

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第914回分子研コロキウム

演 題 「非弾性電子トンネル分光で探る 表面界面の低エネルギー励起―理論的観点から」
日 時 2018年01月09日(火) 16:00
講演者 南谷 英美 講師 (東京大学大学院工学系研究科)
場 所

分子科学研究所 研究棟201号室

概 要

フォノンやスピンに代表される低エネルギー励起は、物性を特徴づける重要な因子の一つである。電子の非弾性散乱過程を利用した分光法は、これらの低エネルギー励起を観測する方法として広く用いられている。今回、特に注目するのは、トンネル電子のエネルギー損失過程を観測する非弾性トンネル分光(IETS)である。IETSを走査トンネル顕微鏡(STM)と組み合わせることで、単一分子スケールの空間分解能かつmeVのエネルギー分解能での振動分光が可能になり、STM-IETSは表面科学における強力な実験手法として急速な進歩をとげた。このSTM-IETSをさらに活用し新奇物性を開拓するには、二つの道が考えられる。一つは、固体表面や界面のフォノンへの適用である。もう一つはスピンへの適用である。本講演では、前者について、フォノンによるトンネル電流変調の理論構築と、そのCu(110)表面[1]やグラフェン/SiC界面[2]への適用を紹介する。後者については、非弾性スピン励起過程における多体効果の理論構築と、そのAu(111)表面に吸着した鉄フタロシアニン分子への適用[3]を紹介する。
 

[1] E. Minamitani, R. Arafune et al, Phys. Rev. B, 93, 085411 (2016)
[2] E. Minamitani, R. Arafune, T. Frederiksen, T. Komeda et al, Phys. Rev. B 96, 155431 (2017)
[3] R. Hiraoka, E. Minamitani, R. Arafune, N. Tsukahara, S. Watanabe, M. Kawai, N. Takagi, Nat. Commun 8 16012 (2017).


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お問合せ先

柳井 毅、 藤 貴夫(2017年度コロキウム委員)