分子科学研究所

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第918回分子研コロキウム

演 題 「ディラック単原子層の発見と先端軟X線分光による機能解明」
"Discovery of Dirac monolayers and elucidation of functionalities by advanced soft X-ray spectroscopy"
日 時 2018年04月17日(火) 16:00
講演者 松田巌 准教授 (東京大学物性研究所)
場 所

分子科学研究所 研究棟201号室

概 要

Less is different. 例えば、ある元素の3次元結晶を原料に固体表面上に蒸着を行うと、自然には存在しえない同じ元素の単原子層から成る2次元結晶が形成され新しい電子状態が生まれる。このように物質を小さく、そして次元を下げていくことで新しい物質及び新しい現象が生まれ、その科学(表面科学)は長年我々を魅了してきた。一方、単原子層は物質の最小限の大きさであり、また組成や構造によって電子物性が大きく変化することから、それぞれを素子とした原子層デバイスは次世代のエレクトロニクス技術として注目を集めている。しかしながら実際の原子層材料の種類はまだ不足しており、実用化に向けて原子層のキャリアダイナミクスもより詳しく知る必要がでてきた。
 単原子層の電子状態は軟X線分光法で直接調べることができ、最近我々はホウ素単原子シート「ボロフェン」の作成に成功して、基板との「モアレ構造」が生み出す特異なディラック電子系を発見した。またCu2Si単原子シートにおいても2次元電子系では世界初となる「ディラックノーダルフェルミオン」を観測した。さらに代表的な単原子層であるグラフェンに対して軟X線分光法の時分割測定(フェムト秒〜マイクロ秒)を行うことで、ディラックバンドにおけるキャリアダイナミクスの全貌も明らかにした。本講演ではこれらディラック単原子層を中心に取り扱うが、「電子—プロトン相関単分子膜」や「電子レンジで作る2層グラフェン」など、ごく最近の我々の成果についても紹介する。

◆詳しくはこちらをご覧ください。

その他

所内対応者:藤 貴夫、椴山 儀恵(2018年度コロキウム委員)