分子科学研究所

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第2回岡崎発動分子科学セミナー

演 題 生体分子モーターの非平衡エネルギー論
~キネシンは効率の悪いモーターだった!?~
日 時 2019年02月18日(月) 16:00 より 17:00 まで
講演者 有賀隆行 博士 (山口大学大学院医学系研究科 准教授(特命))
場 所

分子科学研究所 研究棟201号室

概 要

細胞の中では、多数の生体分子モーターがATPの加水分解などにより得られる化学的な自由エネルギーを、力学的な運動へと変換しています。その運動機構については、この20年間に発達してきた1分子計測技術、とりわけ本年度のノーベル物理学賞を受賞した「光ピンセット」の技術などを用いて、一挙手一投足のレベルで明らかにされてきました。しかし、そのモーターで変換されるエネルギーの入出力を定量的に評価した研究はほとんどありませんでした。私たちは、微小管の上を歩いて荷物を運ぶ生体分子モーターである「キネシン1」を用いて、歩行型分子モーターによるエネルギーの入出力を実験・理論の両面から初めて明らかにしました[1]。その結果は、これまで漠然と考えられてきた「生体分子モーターは高い効率をもつだろう」という予想を裏切って、入力された自由エネルギーの多くが熱として散逸していることを示していました。本セミナーでは、本研究の解析に用いた非平衡物理学の理論[2]を解説しつつ、キネシンの細胞内での役割や、回転モーターとの違いを考慮しながら、散逸されたエネルギーの行方について議論したいと思います。

References
[1] T. Ariga, M. Tomishige and D. Mizuno Phys. Rev. Lett. 121: 218101 (2018)
[2] T. Harada and S.-i. Sasa Phys. Rev. Lett. 95: 130602 (2005)

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◆詳細はこちら(PDF)をご覧ください。

その他

協賛:新学術領域研究「発動分子科学」
http://www.molecular-engine.bio.titech.ac.jp/

お問合せ先

飯野亮太(内線 5230)