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演 題 | 「低温走査トンネル顕微鏡を用いた先端計測による強相関電子系の研究 Advanced scanning tunneling microscopy techniques on strongly correlated electron systems」 |
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日 時 | 2019年11月19日(火) 16:00 |
講演者 | 吉田靖雄 准教授(金沢大学) |
場 所 | 分子科学研究所 研究棟201 |
概 要 |
電子同士のクーロン相互作用を無視できない強相関電子系では、電子の持つ電荷の自由度に加えて、スピン、軌道の自由度がその物性に重要な役割を果たし、非従来型超伝導から、ノンコリニア磁性、量子スピン液体まで様々な物性現象が引き起こされる。ナノサイエンスの基盤技術である走査トンネル顕微鏡(STM)の近年の発展は目覚ましく、従来の表面構造を原子スケールで調べる手法としてだけでなく、電荷・スピン・軌道の自由度を調べる手法が確立され、このような強相関電子系の様々な物理現象を検証可能となりつつある。最も良く知られた手法は、表面電子定在波を利用した準粒子干渉実験であり、系のバンド構造、フェルミ面、超伝導対称性などの調査が可能である。また、本講演でも取り上げる、スピン偏極STMは、表面の磁性を原子スケールで知ることのできる手法として、注目を集めている。更に、我々は、STMの高いz方向(探針から試料表面に向かう方向)の空間分解能を利用して、z方向の減衰距離が異なる表面原子の電子軌道に起因した状態を選択的に観察する手法を開発した。本講演では、これらのSTM先端計測手法を用いた我々の研究について紹介する。 |
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南谷 英美 |