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演 題 | 「臨界現象とスケーリング︓ 切り紙の伸長から滴の融合・分離まで」 “Critical phenomena and scaling: form extension of Kirigami to coalescence and pinch-off of fluid drops” |
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日 時 | 2022年08月02日(火) 16:00 より 17:30 まで |
講演者 | 奥村 剛 教授(お茶の水女子大学) |
場 所 |
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概 要 |
棒状分子からなる液晶においては、低温では分子の方向が揃い、高温ではそれがランダムになる。強磁性体も温度が高くなると強磁性の性質を失う。これらの温度誘起の熱力学的相転移や、結晶構造などの圧力誘起の熱力学的転移は、臨界現象と呼ばれる。転移点(臨界点)は数学的なシンギュラリティ(特異点)に相当し、スケーリング則をベースに、自己相似性や普遍性があらわになる。全く異なる熱力学的相転移現象も、臨界点近傍の数学的振る舞いが全く同じことがあるのだ!それどころか、熱力学的相転移ではない現象も、臨界現象と同じ数学的構造を持つことがある。例えば、de Gennesは、高分子鎖の溶媒中での大きさのスケーリング則が、ベクトルスピンモデルと呼ばれる熱力学的相転移を記述するモデルの特殊な場合に相当することを見抜いた。 このようにスケーリング則とは、物理学では、臨界現象を背景にしており、様々な普遍性の鍵となる。本セミナーでは、このことを我々が行ってきた最新の研究成果を交えてお話しする。そして、切り紙の伸張や滴の融合・分離といった親しみやすい現象も、臨界現象との驚くべき結びつきを持つことも紹介する。同時に、紹介する数々の研究を貫く哲学と普遍性を感じてもらえればと願う。
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お問合せ先 | 南谷 英美、倉持 光 (2022年度コロキウム委員) |