分子科学研究所

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第976回分子研コロキウム

演 題 大気からの直接的CO2回収を実現する分離ナノ膜の創製と分離膜高度化に向けた分子設計
Development of free-standing nanomembranes for direct CO2 capture from the atmosphere, and their molecular design
日 時 2024年01月23日(火) 16:00
講演者 藤川茂紀 教授(九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)
場 所

研究棟201室

概 要

現在二酸化炭素(CO2)の排出削減が、喫緊の課題となっているが、CO2排出削減だけでは、大気中のCO2濃度削減は困難であり、大気CO2の直接回収(Direct Air Capture, DAC)についても行わなければならない状況である。
CO2回収源となる大気は、「地球上に遍く存在する」ということを踏まえると、設置場所に制限のない膜分離でのCO2回収は、他技術に比べて本質的に優位である。しかしながら、これまでのCO2分離膜はその透過量が極めて少なく、DACへの適用は不可能と考えられてきた。
これに対し我々は、架橋性ポリシロキサン材料を用いて、厚みが34nmで、平面サイズが数平方cm2をもち、それ自身で自立性をもつナノ膜を作製し、従来のCO2透過度世界最高値の数十倍という、圧倒的に高いCO2透過度を実現した。この分離ナノ膜は、大気レベルのCO2濃度しかないCO2/N2混合ガスから、約30%のCO2量の分離回収に成功した。またこのような超薄膜化された分離膜では、分離膜表面の分子設計が分離膜性能向上に極めて重要であることが明らかとなった。
本講演では、その表面分子設計や分離膜によるDACを起点とした新しい炭素資源循環社会についても議論する。

その他

2023年度コロキウム委員 倉持 光、瀬川 泰知