分子科学は、the Central Scienceと呼ばれる化学の根底を支える基盤であるために、産学問わず重要であり、とりわけ、分子構造の解明は時として極めて困難であるために今なお新手法・新アプローチ法が求められている。
講演者が専任教員として特任教授を務める東大 社会連携講座「統合分子構造解析講座」では、分子構造解析に関わる企業13社とともに、東大・分子研、さらに他大学との共同研究を通じて分子構造解析に関わる研究を行ってきている。結晶スポンジ法、拡張結晶スポンジ法(タンパク質包接)、カゴ型結晶スポンジ法(中分子包接)、といった藤田 誠卓越教授の化学と、微小結晶構造解析、統合的分子構造解析といった佐藤宗太特任教授の分析化学を中核技術として、従来法では不可能な分子の立体構造の解明に取り組んでいる。
特筆すべき点として、2022年4月に、柏の葉の私企業のレンタルラボ 三井リンクラボ柏の葉1に、オープンイノベーション拠点「FS CREATION」が開設された。分子研の分室でもあり、島津製作所・日本電子・リガクとともに共同入居するユニークな活動拠点である。
本講演では、FS CREATIONにおける、本気の産学連携による研究活動を紹介する。また、この枠組みを活用した、本気の産学連携による教育活動についても紹介する。最先端の分子科学を次世代に直接感じてもらえることで、日本の、世界の化学の底力が将来的に上がるものと信じている。なお、本拠点における研究と教育をサポートする東大基金が設立されていることを末尾にて紹介させていただく。
https://utf.u-tokyo.ac.jp/project/pjt108
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