研究・研究者
研究会・セミナー
演 題 | 「合成化学 2.0:研究手法の複合化による合成化学の新潮流をめざして」 |
---|---|
日 時 | 2024年10月30日(水) 13:30 より 2024年10月31日(木) 15:10 まで |
場 所 |
〒444-8787 愛知県岡崎市明大寺町字東山5−1 |
概 要 | 趣旨説明:科学技術の進歩は、多様な研究手法を創り出し、合成化学に新たな展開をもたらしている。この100年余り変わることのなかったフラスコ実験に加え、フロー合成、電解合成、自動合成、光照射、DFT計算、機械学習など、この20年の間に、様々な手法が複合的に取り入れられ、従来では困難とされていた分子が驚くようなスピードで合成されるようになっている。このような合成化学分野の変革を受けて、研究会では、合成化学の新たな潮流を先導し、合成化学の次世代を担う研究者が集い、最近の研究成果を発表しながら、今後の合成化学について議論する。
プログラム1日目:10月30日(水)
【会場:山手地区 3号館2階西 大会議室】 13:30 ~ 13:40
開会の挨拶
13:40 ~ 13:50
趣旨説明・招待講演者紹介
13:50 ~ 14:20
「実験と計算化学・情報科学を活用した、有機合成化学の理解を目指して」
14:20 ~ 14:50
「「機械学習あり人間」による有機半導体の開発」
14:50 ~ 15:10 休憩・情報交換
15:10 ~ 15:40
「合成化学の可能性を広げる重水素化」
15:40 ~ 16:10
ショートプレゼンテーション
16:15 〜 明大寺地区へ移動
【会場:明大寺地区 計算科学センター】 計算科学センター見学(江原先生・白男川先生)
2日目:10月31日(木)
【会場:山手地区 3号館2階西 大会議室】 09:30 ~ 09:40 事務連絡
09:40 ~ 10:10
「電気の力を触媒的に利用した有機電解合成反応とフロー合成」
10:10 ~ 10:40
「化学の課題を機械学習のタスクに落とし込む」
10:40 ~ 11:00 休憩・情報交換
11:00 ~ 11:30
「保護基の使用を最少化する逆伸長型ペプチド合成法」
【会場:山手地区 4号館5階東 507】 11:30 〜 12:00 自動合成装置 見学(大塚助教)
【会場:山手地区 3号館2階西 大会議室】 12:00 〜 13:20 休憩・情報交換
13:20 〜 13:30
ブレインストーミング 説明と会場移動
【会場:山手地区 3号館2階西 大会議室・共通セミナー室・小会議室】 13:30 〜 14:30 ブレインストーミング(各グループ) お題:2040年の合成化学を考える「創造するための想像の時間」
【会場:山手地区 3号館2階西 大会議室】 14:40 〜 15:00 ブレインストーミングの内容紹介・共有
15:00 〜 15:10 閉会の挨拶・事務連絡 (椴山)
16:00前後
【演題および講演概要】中先生(京大)『合成化学の可能性を広げる重水素化』 重水素で標識された有機物質は、生命科学、医薬、先端計測、電子材料などさまざまな分野で新たな用途が開発されている。本講演では、重水素化された有機物質の合成法や、重水素を導入することで生じる特徴的な物性、反応性、機能に焦点をあてて、重水素と有機合成化学の接点における新たな可能性について議論する。
生長先生(産総研)『保護基の使用を最少化する逆伸長型ペプチド合成法』 ペプチドは中分子医薬品としての応用が注目されているが、従来方向の伸長法では廃棄物が多くコスト高な原料が必要になる問題がある。これらの課題解決を目指し、我々はペプチドチオカルボン酸を利用した、逆伸長型液相ペプチド合成法を開発した。副反応(ラセミ化)を抑えた逐次伸長と収束カップリングを実現し、生物活性ノナペプチドの量的合成に成功したので紹介する。
最近の有機合成化学では、実験と計算化学・情報科学を組み合わせて活用することで、新たな知見が得られるようになってきている。本講演では、演者が取り組んできた実験と計算化学を活用した反応機構の解明と、評価キットによる官能基共存性の理解に向けた取り組みについて、最新の成果も交えながら紹介する。
松井先生(阪公大)『「機械学習あり人間」による有機半導体の開発』 計算資源の発展により、単純な1対1ゲームなどにおいては「教師なし学習」「強化学習」の成果が顕著であるが,複雑な分野では、現状でも「教師あり学習」の有用性が高い。本講演では,現状の最適解のひとつと考えられる「機械学習を使う人間」による有機半導体分子の設計と合成の研究を紹介する。
佐藤先生(岡大)『電気の力を触媒的に利用した有機電解合成反応とフロー合成』 近年、有機化学において電気の力を駆動力とした有機電解合成法が世界的に注目を浴びている。我々は、電気の力を「触媒」として利用するような化学反応に興味を持って研究を進めてきた。本講演会では最近新たに発見した新規反応について紹介するとともに、フロー合成への展開と、機械学習を用いた反応条件探索についても紹介する。
畑中先生(慶應大)『化学の課題を機械学習のタスクに落とし込む』 近年、機械学習を用いる材料設計・プロセス設計が注目を集めている。 しかし、一般的に機械学習モデル構築には、多数のデータが必要であるため、データ収集が困難な分野では、少数データから機械学習モデルを構築する戦略作りがプロジェクトの成功の可否を握る。本講演では、高分子材料、触媒、光機能性材料を例に、機械学習をうまく活用するための肝について議論する。
以上
詳細はPDFをご覧ください |
お問合せ先 | 椴山 儀恵(分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域 准教授) |