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演 題 | 「光電子ホログラフィによるドーパントと界面欠陥の立体原子配列の観測」 |
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日 時 | 2024年11月29日(金) 16:00 |
講演者 | 松下智裕教授(奈良先端科学技術大学院大学) |
場 所 | 研究棟201室 |
概 要 | 軟X線やX線を照射して内殻から光電子を励起し、この光電子の放出角度分布を観測すると、光電子を放出した原子の周囲の三次元的な原子配列が記録されたホログラムが得られる。内殻光電子分光を拡張した技術であるため、特定の元素の周囲の原子配列を得ることが可能である。観測条件として並進対称性を必要としないため、結晶中のドーパント(不純物)や結晶上の薄膜界面を観測することができる。さらに、観測対象の元素が複数の価数を持つ場合、内殻準位のケミカルシフトを利用することにより、異なる価数に対応する原子配列をそれぞれ取得することができる。この手法を用いて、我々はダイヤモンドのリンのドーピングによる高濃度n型半導体の製作が困難である原因の解明や、水素終端ダイヤモンド表面に形成されたアモルファスアルミナ絶縁膜との界面における欠陥の原子配列、さらに超伝導体中の酸素欠陥の観測などに成功した。これらを達成するために、高分解能阻止電場型電子エネルギー分析器を開発し、ホログラムを解析するためのシミュレーション技術や、原子像再構成理論の構築も行ってきた。本コロキウムでは、観測原理、測定装置、解析理論、および応用例について紹介する。 |
お問合せ先 | 瀬川泰知、杉本敏樹(2024年度コロキウム委員) |