研究・研究者
研究会・セミナー
演 題 | 「“水”を標的としたラマン可視化:細胞内・生体高分子の水環境およびタンパク質の液-液相 分離・凝集化の理解」 |
---|---|
日 時 | 2025年09月26日(金) 16:00 |
講演者 | 中林孝和 教授(東北大学大学院薬学研究科) |
場 所 | 研究棟201室 |
概 要 | 分子の振動スペクトルを測定するラマンイメージングの最大の特徴は、ラベルフリーかつその場で分子情報を画像化できる点にあります。私たちは、ラマンイメージングの生体応用において、蛍光で染色できない究極の細胞内分子が「水」であることに着目し、水のラマンバンドを用いた細胞内や生体分子周囲の水の解析を行ってきました。本講演では水のラマンバンドを用いて、(1) 細胞内オルガネラにおける水の密度の定量、(2) 液-液相分離(LLPS)によって形成されるタンパク質液滴や細胞内分子のその場濃度定量、(3) タンパク質および生体高分子周囲の束縛水・中間水の観測、(4) 単一生細胞内のラベルフリー温度イメージングを行った結果を紹介します。さらに、LLPSによって形成されるタンパク質液滴が神経変性疾患の発症に関与する凝集化へと至る分子機構や、細胞内の液滴中にRNAが高濃度で存在することを明らかにしており、RNAと液滴の形成・凝集化との関係も議論します。最後に、LLPSを活用した生体高分子の高感度ラマン測定手法の開発にも触れ、分子分光学および物理化学の観点からの生物系の理解に向けた展開について議論したいと考えています。 |
お問合せ先 |
岡本裕巳(メゾスコピック計測研究センター) |