分子科学研究所

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第1002回分子研コロキウム

演 題 非エルミートナノフォトニック構造におけるカイラリティと光非線形効果
日 時 2026年11月06日(金) 16:00
講演者 納富雅也 教授(NTT物性科学基礎研究所/東京科学大学理学院物理学系)
場 所

研究棟201室

概 要

近年、非エルミート(NH)な物理系で起こる新奇な現象が興味を集めている。代表的なものとして、固有状態が融合する例外点(EP)と呼ばれる縮退状態や、全てのバルク固有状態が局在してしまう非エルミートスキン効果(NHSE)といった特異な現象が起こり、エルミート系では不可能な様々なカイラルな現象が発現する。特に光学系では媒質の利得と損失により簡単にNHハミルトニアンを実現できるため研究が活発化している。

我々は、フォトニック結晶と結合導波路/共振器系という二つのプラットフォームを用いて、NH光学による新しいカイラリティとその非線形制御の研究に取り組んでおり、本講演ではその最近の成果について紹介する。

NH光学では複素屈折率分布の制御が鍵となるが、我々はハイブリッドフォトニック結晶と呼ぶ結晶の対称性を複素自由度で制御できる特殊な構造を提案し、様々な偏光カイラリティ生成を実現してきている。また、我々は最近NHフォトニック結晶において、NHSEの根源である点ギャップトポロジーの観測に成功しており、さらにNHSEを用いた軌道角運動量カイラリティ生成の提案も行っている。

これまでのNH物理は主に線形領域で議論されてきたが、我々はNH系の特異な現象が非線形領域でどうなるかに興味を持っている。最近虚数結合共振器系において、EP的性質が非線形領域で確かに発現し、興味深い性質を示すことを見出しており、講演ではその内容も紹介する。

本講演で述べるように、複雑な複素屈折率分布や複素結合/複素摂動により、様々なNHハミルトニアンが実現可能であり、そこに生まれる多彩な特異的現象を非線形効果で制御、増強が可能となれば光制御等への応用展開も期待される。

お問合せ先

岡崎圭一、岡本泰典 (2026年度コロキウム委員)