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P2X受容体のATP認識機構およびチャネル活性化機構
セミナー・イベント詳細
P2X受容体のATP認識機構およびチャネル活性化機構
演 題 |
P2X受容体のATP認識機構およびチャネル活性化機構(講演は英語で行います) |
日 時 |
2012年04月11日(水) 15:00
より 17:00 まで
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講演者 |
服部素之 博士 オレゴン健康科学大学ボラム研究所Eric Gouauxグループ 博士研究員 |
場 所 |
山手3号館2階 共通セミナー室
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お問い合わせ先 |
古谷 祐詞( 生命・錯体分子科学研究領域)
furutani@ims.ac.jp(送信時に@を半角にしてください)
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概 要 |
アデノシン三リン酸 (ATP) は、生命において代謝および生合成などのエネルギー源として広く用いられている。従来からよく知られていたそれらの役割に加えて、ATPによる細胞外シグナル伝達が近年注目されている。このような細胞外ATPシグナリングには、イオンチャネル型のP2X受容体とGタンパク質共役型のP2Y受容体という2種類のATP受容体が重要な役割を果たしている。本セミナーでは、このうちP2X受容体について演題者の最近の研究成果を中心とした発表を行う。
P2X受容体は、細胞外 ATP によって活性化されるリガンド作動性の非選択性陽イオンチャネルである。P2X1からP2X7までの7つのサブタイプに分類され、それらのサブタイプは、生体内において広く発現しており、神経伝達、筋肉収縮、痛覚、味覚、炎症反応など多様な生理現象に関わることが知られている。それゆえ、P2X受容体によるシグナル伝達は、神経疾患、循環器系疾患、炎症性疾患など数多くの疾患と関連しており、P2X受容体は治療薬の有望なターゲットとされている。
その一方で、その構造解析が困難であったため、P2X受容体の詳細な立体構造はごく近年まで明らかになっていなかった。2009年にはゼブラフィッシュ由来P2X4受容体の閉状態に相当するアポ型のX線結晶構造が報告されたが、開状態に相当するATP結合型のP2X受容体の結晶構造は未知であったため、P2X受容体によるATP認識機構やチャネル活性化機構の詳細は明らかになっていなかった。 演題者は、大学院在籍時からX線結晶構造解析を主な手法としてイオンチャネルの構造生物学に取り組んでおり、学位取得後は米国オレゴン健康科学大学のEric Gouaux博士の下で、P2X受容体の構造・機能解析を行い、「ATP結合型開状態」に相当するP2X受容体のX線結晶構造を明らかにした。本セミナーでは、それらの結果に基づき、「P2X受容体がどのようにATPを認識しているのか」及び「ATP結合がどのような構造変化を引き起こし、チャネルの開閉につながっているのか」を中心にP2X受容体の構造機能相関について議論を行う。
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その他 |
オレゴン健康科学大学ボラム研究所Eric Gouauxグループ 博士研究員
http://www.ohsu.edu/xd/research/centers-institutes/vollum/faculty/gouauxlabmembers.cfm
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