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セミナー・イベント詳細

ローレンツ対称性がない場合の南部・ゴールドス トーンモード

演 題 ローレンツ対称性がない場合の南部・ゴールドス トーンモード
日 時 2012年08月09日(木) 13:30
講演者 渡辺悠樹 (カリフォルニア大学バークレー校物理学科 大学院生)
場 所

分子研 研究棟201号室

お問い合わせ先

鹿野 豊

概 要

「系の連続的対称性が自発的に破れると、ギャップレスな励起モードが現れる」という南部・ゴールドストーンの定理は1960年 代に構築されて以来物理学の基礎をなしてきた。素粒子物理学で通常仮定される「ローレンツ対称性」がある場合には、南部・ゴールドストーンモードの数や分散関係といった性質は詳細に理解されていた。
しかし、「自発的対称性の破れ」という現象自体はローレンツ対称性がない場合にも非常に普遍的に現れる。例えば結晶や磁石、超流動はその例であり、これらの物質中に見られる南部・ゴールドストーン粒子は低温での物性を大きく左右する。その例として、「結晶の比熱は低温でT^3に比例する」というデバイのT^3則も南部・ゴールドストーン粒子すなわちフォノンに着目することにより説明される。
このような多くの具体例・応用例にもかかわらず、ローレンツ対称性がない場合の南部・ゴールドストーン粒子の数や分散関係を統一的に説明する理論は今まで構築されていなかった。今回我々は有効ラグランジャンの方法を用いてこれに成功したので、「自発的対称性の破れ」「南部・ゴールドストーンモード」といった基礎的な部分も含め概説したい。