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ATP合成酵素の1分子生物物理学の最前線
セミナー・イベント詳細
ATP合成酵素の1分子生物物理学の最前線
演 題 | ATP合成酵素の1分子生物物理学の最前線 |
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日 時 | 2013年11月15日(金) 16:00 |
講演者 | 野地博行 教授 (東京大学大学院工学研究科応用化学専攻) |
場 所 | 分子科学研究所 研究棟2階 201号室 |
お問い合わせ先 | 古谷祐詞、山本浩史(2013年度分子研コロキウム委員) |
概 要 |
ATP合成酵素の触媒部位を持つF1-ATPaseを分子機械としてみたとき、その最大の特徴は化学-力学共役反応の可逆性にある。この可逆性のおかげで、エネルギー変換効率は100%近くに達する。1分子操作実験においても、この可逆性のおかげで特定の触媒反応状態にある分子を安定に操作することができ、外力に対する応答性を極めて高い精度で計測することができる。この特徴を生かし、私たちはATP結合や酵素上におけるATP加水分解の速度定数や平衡定数を回転角度の関数として求めることに成功した。その計測から、F1とATPの結合過程、とくに親和性変化の構造変化プロセスが1つの主な力発生ステップであることが明確に示された。また、人工ヌクレオチドを用いた1分子計測やF1のATP結合部位の変異体1分子解析から、この結合親和性変化のプロセスでは、ATPの塩基ではなくリン酸基との相互作用が決定的であることが解明された。本発表では、これら最新の知見を統合し、現在のF1の駆動モデルを紹介したい。また、この研究の過程で開発された、ATPセンサー、脂質平面膜チャンバー、デフォーカスイメージによるナノ粒子角度計測技術なども紹介したい。 |
その他 |